肌には外的から身を守るためさまざまなバリア機能の役割があります。
- 有害な分子が皮膚に侵入するのを防ぎます。
- 脂質と水で構成される「皮脂膜」で肌表面を覆うことで、水分を蓄えています。
- メラニンの働きにより、紫外線の透過を抑えます。
- 体内への菌の侵入を阻止します。
- 肌表面のフリーラジカルを破壊して酸化ストレスから細胞を保護します。
ほかにも日光を浴びてビタミンDを合成したり、汗をかいて体温を調節したり、代謝の役割も担っています。
- 弱った肌のバリア機能を立て直すには?
肌の表皮の角層は、3つの保湿因子が肌を守っています。
肌の水分を抱え込み、角質細胞内のうるおいを保つ 「NMF(天然保湿因子)」。
角質細胞同士の隙間を埋めて、何層にも重なり水分の蒸発を防ぐ 「細胞間脂質」。
そして、汗と皮脂から構成される 「皮脂膜」です。
皮脂膜は肌表面を覆うことで、角層の水分蒸発を防ぐ蓋の役割を担っています。
また、雑菌や外的な刺激から肌を守り、皮膚の常在菌のバランスを保っています。
皮脂膜のバランスが崩れると、うるおいを保つことができず水分が蒸発し、皮膚が乾燥した状態になります。
乾燥はさまざまな皮膚トラブルを引き起こします。
そのため、皮脂膜のバランスを維持することは、健康な肌を維持することにつながるのです。
- 健康な肌を維持するための栄養素は?
人体の他の器官と同じように、健康な肌とは何よりも栄養が行き届いていることが大切です。
皮脂膜を強化するためには、植物や油性の魚、種子などから必須脂肪酸を摂るようにしましょう。
必須脂肪酸が不足すると、皮膚の乾燥や炎症、湿疹、免疫力の低下にもつながります。
さんま、あじ、イワシ、サバなどを食生活に取り入れると良いでしょう。
調理時には大豆油、ゴマ油、なたね油、アマニ油を使用するのもオススメです。
また、抗酸化作用のある野菜や果物を多く含む食事は、酸化ストレスに対抗するのに役立ちます。
食材として、トマト、ホウレン草、パプリカ、ニンジン、ブロッコリー、イチゴ、キウイなどです。
ポリフェノール豊富な赤ワインや、ブルーベリー、ブドウ、ココア、チョコレートなども良いでしょう。
- 肌を傷つけるケアはさけること
スキンケアについては、毎日のルーティンを見直してみましょう。
皮脂膜は、とても繊細で傷つきやすい保湿因子です。
肌の表皮がダメージを受けると、表皮の水分と油分のバランスを整える、皮脂膜の保護機能は失われてしまいます。
過度な洗顔や角質ケアは、表皮の水分と脂質のバランスを崩すため、肌乾燥の主な原因になります。
水で洗い流さなくても使用できる、皮脂膜を守る効果の高い植物性オイルなどが配合されたクレンジングミルクや、肌のpHに近い、肌にやさしい洗顔料に置き換えることが大切です。肌のバリア機能を変化させないことで、肌本来の機能を維持することができるのです。
- 肌のバリア機能を数週間で強化するには?
肌がかゆくなったり、つっぱったり、脱水症状や乾燥が見られる場合は、肌のバリア機能が低下しているサインかもしれません。肌のバリア機能を回復させるためには、数週間から1カ月、美容のためのスキンケアルーティンは、最低限のシンプルケアにして、過剰なケアは避けましょう。
洗顔後は、肌をうるおすための化粧水で、肌の内側から十分な水分補給をしましょう。おススメは肌がもともと持つ成分と似た成分で構成されたNMF配合の化粧水です。肌が「自分のもの」として認識をすることで、肌の角層が成分をぐんぐん吸収して、肌のうるおいを抱え込みます。
たっぷりと水分補給をしたあとは、肌に親和性の高い成分の配合された、栄養と保湿効果の高いリッチな感触のクリームを選び、肌の水分が蒸発しないように、しっかりと保湿をします。
特に乾燥が気になる肌には、植物性オイル、バター、ワックスなどが配合されたクリームが適しています。
うるおいと栄養たっぷりのリッチなクリームが肌に栄養を与え、弱った皮脂膜を強化し、肌をやわらかくなめらかにして、天然の皮脂膜を保護します。
このシンプルケアを続けることで、肌のバリア機能は少しずつ回復します。
肌表面の乾燥やつっぱり感が、抑えられてきたら、アロエベラなどの有効成分をプラスワンで取り入れるのも良いでしょう。
毎日のスキンケアルーティンと、バランスの取れた食生活を心がけて、健康な肌を維持しましょう。